「中国人スタッフは今、何を考え、そして何を会社に求めているのか?」
~モラルサーベイ、福利厚生調査から見えてきた中国人スタッフの本音
日時:2017年12月12日(火)
会場:恒生銀行ビル
言語:日本語
1.第一部: 中国人社員のモチベーションは「見える化」した後で向上させる
第一部はGML上海の江口総経理より講演をしていただきました。スタッフのモチベーションを可視化できるツールから得られた様々な経験、知見を当セミナーで共有されました。
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中国人社員のモチベーションに影響を与える要因とは
日本人が重要だと想像している要因と、実際に中国人社員のモチベーションに影響を与えている要因の差異について江口総経理が解説。特に「公平・公正な評価」「会社の理念・価値観」「役職・権限」に関して、両者の理解に大きな隔たりがあることが分かりました。
日系企業で働く中国人社員のモチベーションの実状
12項目に分解されたモチベーション要素を部門ごとや拠点ごとに分析。さらにこれらの要素を重要度と満足度のマトリクスに落とし込むことで、会社として取り組むべき項目の優先順位をつけることができます。
ローカル企業の成功事例
業績が好調なローカル企業の具体的事例を紹介しながらモチベーションアップ策のヒントを探りました。従業員持ち株会制度を上手に活用しながら社員と会社の一体感を作り出すことに成功したRTマート、前線の販売員を重要視した月次報奨金を設計しているワトソンズ(薬局チェーン)、思い切った評価制度を導入している青島ビールの事例などを紹介しました。
2.第二部: 福利厚生調査から見えてくる中国人スタッフの本音
第二部はベネフィット・ワン上海総経理の鈴木からの講演です。これまで当社が実施してきたフォーカスグループインタビューによる調査結果や得られた知見を当日は解説致しました。
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中国人の生活レベルや価値観を知る
対象者の手取り月収平均値は20代で7,000元、30代で13,500元でした。また、世帯月収(手取)は20代で15,100元、30代で28,900元となりました。上海の大手企業を中心にヒアリングしたこともあり、高い給与水準の結果に。また、多くの上海人は結婚時に親に家を買ってらもっていることもあり、住宅ローンや家賃負担がなく(又はほとんどなく)、主な出費は食費や旅行、子供への教育費用などに回しているようでした。
会社に対して満足なところ、不満足なところ
現在の会社に対して不満なところを聞いたところ、「発展空間が少ない」「給与が低い」「ストレスが大きい」との回答が多くを占めました。一方、満足している点としては「仲の良い同僚」「仕事で成長できる」「企業文化」の三つの回答が上位となりました。「給与が高い」ことを満足とした対象者はほとんどおらず、給与は衛生要因であり、不満足要因にはなり得ても、満足要因にはなり得ないことが改めて明らかになりました。
重視している福利厚生
次に現在の福利厚生で重視しているもの、転職の際「あって当然だ」と思う福利厚生について聞きました。いずれの質問に対しても「休暇」「社員旅行」「保険」「補充公積金」が回答の上位を占めました。「家族と過ごす時間を重視したい」「子どもの医療費の負担を下げたい」「家を買いたい」「旅行に行きたい(特に海外)」といった上海に住む中国人スタッフの典型的な価値観や嗜好を反映した結果となりました。一方、社員旅行やギフトカードなどの現物給付は以前ほど喜ばれていない現実もあきらかになりました。
中途半端な現金ならはあげないほうがまし
豊かになった沿岸部の中国人スタッフは、中途半端な昇級、報奨金、買い物カードでは、もはや心を動かされません。今回の調査でも「数百元の現金だったら嬉しくもなんともない。」「1000元ぐらいの現金だったら、年会で総経理から表彰される方がうれしい」との意見がありました。多くの企業が、現金給付ではなく、福利厚生や奨励などの精神的な満足度向上にもっと目を向けるべき時期がきていると考えております。
以上、今回の人事労務セミナーの概要をご報告させて頂きます。セミナー資料を以下に公開させて頂きますので、ご興味ある方はご自由にダウンロードしてください。
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